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2012年8月18日 (土)

つながらない生活

今年の夏休みの読書は「つながらない生活 「ネット世間」との距離のとり方」( ウィリアム・パワーズ著 有賀裕子訳 プレジデント社 ) でした。原作のサブタイトルに" A Practical Philosophy for Building a Good Life in the Digital Age"とあります。大型書店に並んでいたのをタイトルが気になり、ぱらぱらと目を通してみて購入しました。

ここ数年の間にインターネットに「つながる」環境が急速に普及し、そのことにより、仕事や生活が便利になる一方でかえってあわただしくなってしまったと言う人は少なくないと思います。著者は「つながり至上主義」と称して、「スクリーン(インターネットと接続できる機器)とつながるのは好ましく」、「つながればつながるほど望ましい」という風潮に疑問を呈しています。それにより失われるものは「奥深さ」で、生活、仕事のあらゆる面で奥深さが失われてゆくということです。私が、この本が気になったのは、自分自身が日常生活の中で、ネット依存症になりつつあるのでは、と漠然と感じていたからです。

「外とのつながり」が人間の生き方に関わる事になる事例として、著者は過去の7人の賢人の事例をあげています。古くはプラトン(紀元前427-前347)から、セネカ、グーテンベルグ、ハムレット(シェークスピア)、ベンジャミン・フランクリン、ソロー、マクルーハンと古今の著名な人たちの、当時の新しい技術が人とのつながりに及ぼす影響とそれに賢人たちがどう対処したかを紹介しています。マクルーハン以外は、コンピュータやインターネットとは無縁の時代の人たちですが、それぞれの時代における「外とのつながり」に人は悩み、対処していたことが理解できます。そういう意味では、現代のインターネットへの「つながり至上主義」も古くて新しい問題と言えるかもしれません。著者は、インターネットの普及を否定的には捉えていません。むしろ、そこから導き出される便利さ、世界の広がりを享受しています。しかし、あまりにつながり至上主義に陥ると奥深さが失われると警告しているのです。最後に著者自身が実践している対処方法として、週末2日間を「インターネット安息日」として、インターネットを遮断する生活を実践していることで、生活のバランスを取っているとのことです。

自分自身を振り返ってみますと、過度の依存とまではいかないまでも、つながっていないと不安な気持ちはあります。例えばスマートフォンを忘れて出かけると、決して不可欠なものではないのですが、不安で仕方がありません。また、ずっと以前から、仕事でもプライベートでも海外を含め出かけるときは、いかにインターネットに接続するかという事に腐心しています。それが家族を含めた自分の生活から奥深さを奪い取っているかどうか、そこまでの自覚はあまりありませんが、いつの間にかつながるということ自体が目的になってしまっていることがあります。私も敢えて「つながらない」時間を作ってみるのも悪くはないな、と感じた次第です。と言っても、週末の2日間をネット遮断するところまではいかないでしょうが。

つながる生活とつながらない生活のバランスをいかにとってゆくか、より忙しくなってゆく現代人に一度自分を振り返る機会を与えてくれる示唆に富んだ本と思います。

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