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2009年7月25日 (土)

netbookとGoogle Chrome OSに関する考察

GoogleがChrome OSの開発を行っていることを発表して以来、さまざまな記事や憶測が飛び交っています。多くは、マイクロソフト対Googleの構図で戦略や勝者はどちらか、といった記事が多く目に付きます。
 それはそれで興味はありますが、それとは少し違うマクロ的な視点もまじえて、Google Chrome OSが出現する2010年(~2012年ごろ)のPC、インターネットを取り巻く状況がどうなっているのか、個人的にはどうあってほしいかを考えてみました。

 考えの起点は「インターネットの爆発的な普及」と「新興国の経済力の拡大」です。

 インターネットの普及については多くの説明は不要でしょうが、世界におけるインターネットの普及率はどうなっているのか調べてみました。図1はeMarketer社が2008年1月に発表した資料で、世界のインターネット人口は11.5億人なっています。世界人口はこの時点で66億人ですので、普及率は17.4%となっています。
 発表された国別のインターネット人口を先進国の代表としてG7(日、米、英、仏、独、伊、カナダ)と新興国の代表としてBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)で集計してみました(図2)
 興味深いのは、G7のインターネット人口は4.4億人で普及率は61.6%に対して、BRICsでは2.8億人の人口で普及率は10.0%という点です。人口ではG7対BRICsがおおよそ6:4であるのに対し、普及率では6:1となっています。言い換えれば、BRICsはまだまだインターネット人口が増加する余地が高い、と言えます。
Worldwide_internet_users
図3は同時に発表されたeMarketterの資料で、2012年までの世界の地域別のインターネット人口の予測です。この表からも、BRICsのあるLatin AmericaとAsia-Pacificの増加が予測され、両地域とも年平均11%台の増加率であるのに対し、欧米地域では、一桁の伸び率に留まっています。この表をもとに地域別の構成比率を算出してみると(図4)Latin America Asia-Pacificが2007年49.9%が2012年には57.7%に、逆に欧米地域では46.4%から38.6%に減少しています。2012年時点でのインターネット人口は17.2億人で、この時点の人口予測を70億人とすると生まれたばかりの赤ちゃんも含めた世界のおよそ4人にひとりがインターネットを利用していることになります。以上のことから、今後、新興国を中心とした地域のインターネットの普及が拡大し、インターネット人口の過半数がこれらの地域の人たちになることが読み取れます。
Internet_users_2012

では、新興国の人たちはどのような形でインターネットを利用するのでしょうか。現在、新興国においても携帯電話の普及はめざましく、矢野経済研究の調査(図5)によりますと2008年は年間11.8億台の出荷で、グラフから見る限り欧米の構成比率は4割程度となりそうです。これが2012年には年間13.2億台の出荷で欧米地域の比率は更に低下します。

Yanokeitai
図5

以上は年間出荷台数の話で、少し古いですが2007年5月9日の日経ビジネスオンラインの記事では

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現在、世界の携帯電話利用者数は24億人を超えている。国別に見た場合、利用者数上位の顔ぶれは次の通りである。1位/中国(約4億6000万人)、2位/米国(約2億3000万人)、3位/ロシア(約1億5000万人)、4位/インド(約1億4000万人)、5位/ブラジル(約1億人)、6位/日本(約9600万人)。以上のようにBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)と米国、日本が上位を占める構図となっている。この6カ国だけで約12億人の携帯電話利用者がおり、世界の全利用者の半数を占めることとなる。
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 新興国を中心とした地域はいわゆる超低価格携帯の利用台数が多いと思われますが、矢野経済研究所によるとアジアを中心に3G、3.5Gが伸びているとのこと。そうなると携帯電話でインターネット、メールの利用が増加が予想され、携帯電話に加えてスマートフォン、PCへの移行もしくは新規購入が予想されます。

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図6

図6は地域別のGDPの長期予測ですが、今後もBRICsの成長は続き、2008年秋の金融危機で現状は停滞感がありますが、長い目で見れば新興国の経済成長は今後拡大するものと言えます。(注:グラフにあるVISTAとは、ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチンのことでWindows Vistaとは関係がありません)このことから、新興国の経済成長により、携帯電話からより価格の高いPCへの移行が可能と考えられます。
 このような流れの中で、2007年秋にASUS EeePC 4Gが発売され、現在はいわゆるnetbookが世界で売れています。デスクトップPCなどの市場が成熟しているのに対し、netbookは成長市場です。今年6月のガートナーの発表資料を以下に引用します。

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2009年6月25日、IT市場調査会社の米ガートナー社は、2009年度のパソコン(以下、PC)出荷台数は2008年比6%減の2億7400万台になると調査結果を公表した。また、2009年10~12月期には回復に転じ、2010年には10.3%増という回復基調になる、と同社は予測し、以下のように述べている。

・ 2009年の第1四半期は、東欧諸国以外は当初の予測よりも上回った。特に消費者向けが予想以上に堅調だったが、企業向けの出荷が苦戦。
・2009年第2・第3四半期のPC出荷台数は、前年比約10%減
・ネットブックは、2009年には2100万台、2010年には3000万台と成長路線が続く。
・2010年、2011年には買い替え需要は堅調に増加する。
・2009年のネットブックを含めたノートPCの出荷台数予測は1億4900万台で、前年比4.1%増。しかし売上ベースでは12.8%減の予測。
・2009年のデスクトップPCの出荷台数予測は1億2500万台で、前年比15.7%減。売上ベースでは26.6%減の予測。
・2009年10月に予定されているWindows 7のリリースの影響は、非常に少ない。コンシューマー市場では移行が進むが、企業は少なくとも1年間はWindows 7でアプリケーションが動作するかをテストするだろう。
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 netbookの特徴は、それなりの機能で低価格と言えます。これまでPCはメーカーの戦略もあり、(ソフトも含め)高機能化路線が主流でしたがnetbookは異なる価値観を提供し、個人ユーザーを中心に受け入れられているといえるでしょう。日本の大手メーカーも(しぶしぶ)参入しています。もちろん、HD動画や、3Dゲームなど、高機能を求めるユーザーもいるわけですが、11億人のインターネット利用者のすべてが高機能なPCを求めているわけではありません。webの閲覧、メールでの利用を主体とするなら、netbookレベルのスペックで十分ですし、更にIntel以外のARMなどのCPUの利用で更に安価で、低消費電力(電力事情の悪い新興国では電力消費量もポイントになると思われます)が出てくるのではと予想されます。

 ハードウェアの低価格化と、高機能、高価格との2極分化が進んだとき、OSの価格が変わらないとすれば低価格PCに対してはOSの占める相対的価格が高くなり、消費者にとっては割高感は出てくるでしょう。これは、先進国ユーザーよりも価格に敏感と思われる新興国の人たちに影響がありそうです。そして何より、これからPCを利用する人たちは、Windowsに慣れ親しんだ人たちとは異なり、OSは別にWindowsである必要はないと考えても不思議ではありません。Linux搭載のnetbookが発売されて、危機感をいだいたマイクロソフト社が破格値でWindows XPをOEM先に提供したようですが、それでもWindows搭載機と非搭載機では価格差はあり(日本では寂しいことにDELLだけがubuntuバージョンを販売しています)、Windows 7では相対価格は更にアップしそうです。OSに加え、アプリケーション分野でもデファクトとなっているマイクロソフトOffice、アンチウィルスソフトなどを加えるとWindows環境は更に割高感はあります。
 これからPCを利用しようとする新興国の人たちがこの点をどのように評価するかがGoogle Chrome OSの普及のポイントになると考えます。以上のことは、Linuxが搭載されたnetbookが登場した時にも出た議論です。そのときはマイクロソフトの戦略も功を奏し、現在はnetbookのOSはWindowsの一人勝ちと言われていますが、Googleという強力なブランドを持つChrome OSが出てくる1年後も同じ状況になっているでしょうか。また、マイクロソフトにしても、Googleにしてもこのようなトレンドは認識済みで、その上でどういう戦略を打ち出してくるか、特にマイクロソフトの動きがもうひとつのポイントと言えます。

 私としては期待と願望もこめて下記の仮説を設定しました。
「従来PC(Windows)を使っていなかった新興国を中心にNetbookとGoogle Chrome OSが普及し、OSのフリー化が進む。この流れが先進国にも波及する。」

 なんだか論文のようになってしまいましたが、最後までお読みいただいた方に感謝します。なお、私のスタンスはアンチマイクロソフトではなく、OSにもさまざまな選択肢があってもよいのでは、というものです。少なくとも現在の日本においては、ユーザーに選択肢はWindowsとMac以外ほとんどありません。(マイクロソフトに対しては、私自身はPC登場以来、マイクロソフトとともにPCライフを歩んできたという思いがあります)

最後にこれまでの説明を表にまとめました(図7)

「netbook_and_chrome_os.pdf」をダウンロード

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